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宇宙創成 .2

かつてのキリスト教圏、すなわちヨーロッパで生まれた現代科学を客観的で崇高な学問であるとありがたがっている西洋以外の国の学者たち、特に日本の学者たちは、西洋人の意識の根深い聖書との繋がりを果たしてどれだけ理解しているだろうか。ヨーロッパがキリスト教圏ではなく、例えば仏教圏だったら、彼らは今のような宇宙論や進化論を考え出していただろうか。

ユダヤ人が神に選ばれた民であり、その神が民に自然と他の生き物に対する支配権を与えたという旧約聖書の記述は、もともと全てのものに神が宿るとする東洋的汎神論からすればとんでもない奢り、傲慢としか映らないだろう。一方、唯一絶対の神を信奉する欧米人にすれば、神格を持つのはエホバとイエスだけであり、他のすべてものは被造物に過ぎないのであって、万物に神の霊が宿るなどという東洋的発想は、逆に神に対する冒涜と映るだろう。

しかし鉄砲や大砲など、当時の大量破壊兵器を先に作って実用化した西洋人はアジアやアフリカ、中南米の国々を次々と土足で踏みにじり、多くの民を殺し、多くの国を植民地にしていった。これら植民地となった国の人々は傀儡(かいらい)政権の下で生き残るために彼らの文化を受け入れざるを得なかった。このようにして世界中が西欧文明に席捲され、それを崇拝することとなった。

今や学問、政治、経済などといった人間活動の様々な分野で欧米の考え方が是とされ、世界中の人々がこれに追従し、結果的に自然破壊と種の絶滅に加担している。

古代エジプト人は何千年もの間ナイル川の洪水を止めようなどと思わなかった。彼らは多少運河を造ったり護岸工事も行なったが、洪水そのものは受け入れて共に生きてきた。それは洪水が上流から運んでくる栄養分によって土地を肥えさせるということを知っていたこともあるだろう。しかしそれ以上に、自然を人間の手でいじることがどんな結果を招くかを知っていたからではないだろうか。近代になってアスワン・ダムとアスワン・ハイ・ダムができて、下流の土地はどんどん痩せ衰えて収穫は減り、野菜は小型化していっている。ダムもそうだが、欧米人の考え方から生まれた化学肥料なども、それを使えば最初は改善されるが、やがて元の小型化と収穫減少に戻り、どんどん化学肥料を増やさねばならず、続けているうちに次第に土地は痩せてゆくという悪循環を起こす結果になっている。

自然破壊イメージ自然を征服し人間の利益のために従属させ寄与させるといった欧米人の間違った発想が、結果的に今日の自然破壊という状況を招いたと言えるのではないか。自然と共に生きることを学ばなかった彼らは論理と人間中心主義的な考えを発展させ、自然の奥深さや心の奥深さを探求し損ない、そうした彼らの活動が破滅的な世界を招くことになった。もちろん欧米の考え方に侵され、同じ発想で経済発展にいそしんできた日本人もその例外ではないが。

もう一度言うが、現在の世界が環境の破壊と種の大量絶滅に向かっているのは、西洋文明とそれに追従する国々が為してきた活動の結果と言えるだろう。聖書では神が人間を、最後に最高の生き物として創造したとされている。しかもその人間に、神はに自然と全生物に対する支配権を与えている。そして『生めよ増えよ地に満ちよ、地を従わせよ』とまで言っている。欧米人が自然を征服し、他の生き物を支配することに抵抗を感じないのは、こうした聖書の記述が影響していると思われる。

こうしたことは医学についても言える。日本で一般に行なわれているのは西洋医学だ。西洋医学は病気は征服すべきもの、生は善で死は悪なるもの、という考えの上に成り立っている。例えば癌になったら人体に毒である抗癌剤を投与する。癌さえ殺せば体は弱っても後で回復するので気にもかけない。どこか内臓が悪いと生命維持に支障がない限りそれを切り取る。まるで錆びた部品を機械から抜き取るように。それでもだめなら内臓ごと取り替える。まるでロボットの部品を取り替えるように。さらに全く助かる見込みも元気になる見込みもない患者に対しても、死は悪なので延々と生命維持を続ける。本人がどんなに惨めな思いをしようと苦しい思いをしようとお構いなしだ。

私に言わせれば、こんなことは人間の尊厳に対する冒瀆以外の何ものでもない。『チベット死者の書』によると、チベットでは高齢者が重病になったり、若い人でも不治の病にかかったりすると、医者を呼ばずに僧侶を呼ぶという。そして意識がしっかりしているうちから「死者の書」を読み聞かせ、死を受け入れる心の準備をさせるという。「死者の書」には死んだ後、あの世でどういう状況が待ち受けているかが書かれていて、その対処方法も事細かに書かれている。僧侶や家族がそれを読み聞かせるのだ。

欧米人の多くは見て触れることのできる物質界のことしか理解できないので、死は当然悪であり、死後の世界なども妄想だと思っている。日本人も欧米人のこうした軽薄な文化に影響されたため、同じように考える人が増えてしまっている。逆に欧米人の中には、死後の世界や転生を信じる人が徐々にだが増えてきている。


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